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2005.08.26

 祭りの楽しみ方

 夏といえばお祭り。今年は近所のMBC夏祭りに家族で出かけた。
 うちの母は祭りといえば、もっぱら舞台で繰り広げられるショーを楽しむタイプ。案の定、会場を見渡して舞台を見つけると、もうそこから動かないという。なので、そんな母は残して、「祭りといえば屋台」で意見が一致した姉と妹と私は、お目当てだったお肉の串焼きを求めてさまよった。
 何気なく目に付いた串焼き屋。なんと、1本800円という張り紙が。むちゃくちゃ高いではないか。しかも、よく見ると最初は500円だったのを、5の数字をむりやり8に書き換えてある。なんたること。
 こうなったら絶対安くで手に入れたい。と思っていたら、なんと1本300円の良心的な屋台と無事にめぐり合う。即購入。
 あれこれ食べ物を買い込み、母の元へ行くと、いまだ熱心に観賞中。お腹いっぱいになっても、母はそこを動かない。というわけで、私たちも母が帰る気になるまで待つことになった。
 どうやら今度は舞台でバンド演奏があるらしい。
 そして登場したのは、与論島の「かりゆしバンド」だった。
 独特の音階が響き渡ると、会場のあちこちから観客がステージ前に飛び出していく。
 両腕を揺らしながら、手のひらを慣れた調子でうねらせ、踊り始めた。まるで体が自然と音楽に反応するかのよう。音楽が流れ出しては前に出て踊り、鳴りやめば後ろに帰っていく。その行ったり来たりが何回か続いた。
 気がつけば、夢中になって観ていた私。こんな風に奄美を肌で感じたのは久しぶりだった。体を包み込む心地よいメロディーと、彼らの踊りまくる姿に、祭りを本当に楽しむことを教えられた気がした。                            
                                  (坂)

  舞台の上で
  踊りだす人も。
 
 2005.08.
19

 あなうれし

 甥っ子の誕生日に本を贈ったのは5月のこと。ゲームソフトを欲しがっているのは知っていたけれど、こちらとしては本(それも冒険物語)を読んでほしくて、こっちの思いで一方的にプレゼントした。選んだのはジュール・ベルヌの『2年間の休暇』。私の時代は『十五少年漂流記』というタイトルで、読んだのは小学4年のころだったでしょうか。いただいた本でした。もう夢中になって読んだ大好きな本だったので、甥も読めば夢中になるはず、と踏んでのことでした。
 だがしかし、現代っ子の彼氏はパラパラっと見て、「字が多ーい、絵が少なーい、読まないかも」。あら、そお。やっぱり。言うだろうなとは思っていたけれど。そうですか。でも、いつか読んでくれる時がきっと来るはず、と棚に置いておいた。
 で、7月のある朝、
 「読書の時間に読む本がないんだけど、なんかない?」
 お、来ましたか。はいはい。
 「あるよ。はい、これ」
 と、かの本を渡す。しょうがないかなあといった感じでしぶしぶ受け取り、彼は学校に向かった。
 その晩のこと。食事をしていると母が言った。
 「あんね、大ちゃんがね、あの本すごく面白いって。休み時間も読んでるってよ」
 してやったり。そうでしょう、そうでしょう。はまってくれてありがとう。読書の時間よ、ありがとう。うれしくなった夜でした。                        
                                     (Kuro)


 2005.08.03

 祖母の思い出


 先日、霧島神宮に程近いところにある食堂で、そうめん流しの昼食をとった。連れの者がおいしかったよ、と言うので、渋々ついて行った。私なら必ず見逃してしまうような立て看板。草を分け入ると、そこはあった。そうめん流しの店は鹿児島ではそんなに珍しいものではない。香川県のセルフうどんには負けるが、鹿児島県民なら夏になれば一度は行きたくなる。

 とりあえず、注文。髪の毛をおおざっぱに束ねた小柄な女性がたった一人でいそいそとそうめんを湯がいていた。おにぎりも頼んだのだが、直前の客でご飯が切れてしまったのだとか。その日は、鯉のあらいなどを食べる気にならなかったので、ひたすら我慢。
 やっと出てきたそうめんと、薬味と、つゆ。これしか食べるものがないのだから、どんどん流水の中に投入する。箸で、わしっとつかんで口に入れた。

 その瞬間。私は絶句した。思い出してしまったのだ、もう二十数年前の祖母のことを。

 母方の祖母は、裁縫はもちろんのこと、何をさせても器用な人だった。宮大工の棟梁であった頑固な私の祖父によく尽くし、晩年体が動かなくなるまで本当にせっせと働いた。孫の私から見ても小さなかわいい人で、誰からも愛されていた。
 もちろん、料理も例外ではなく、煮しめを作らせれば、彼女の右に出る人はいないと今でも思っている。それは当たり前だろう、祖父は料理を少しでも気に入らないと箸をつけないどころか、厳しく祖母を叱責したらしい。幼い頃の私は、「じいちゃん、ひどい」と言っていたが、二人なりに信頼あってこそだったのだろうと今は思える。

 そんな私でも、一度だけで「勘弁して」、と思ったのが、そうめんのつゆだった。祖母は、たくさんの干ししいたけと、煮干しを使って作っていた。子供ながらに、母の作る鰹節たっぷりのつゆに舌の慣れていた私と弟は、自然と箸をおいてしまった。それでも、氷をこれでもかとつぎ込んで口にかきこんでみたが、残念。鰹風味にはならなかったのである。

 祖母は、私が高校1年の時に亡くなった。あんなにかわいい女性を私は他に知らない。舌の記憶を馬鹿にしてはいけないようだ。祖母の味とは、また少し違ったが、しいたけの甘さと濃厚さが私の中にある何かを呼び覚まし、涙が止まらず、祖母の一つ一つを思い出しては懐かしんだ。
 何年たっても、祖母が今、この世にいなくても、私は五感に影響されるほどのおばあちゃん子であると改めて確認した。

 「ごはんが炊けましたから、おにぎりつくりましょうか?」
 さっきの女性が握ってきてくれた。洟(はな)をすすりながらほおばった。おいしかった。でも、既に口の中はしょっぱくて、お茶と一緒に流し込んだのだった。
                               (ふく)

 2005.07.27

ライブで心の充電

 
 最近、ライブハウスに一人で行くようになった。昔は、一人ではちょっと……。そんな感じだった。ところが、今は初めからチケットは一枚しか買わないほど。自分が行きたいと思ったなら、行く。そう決めたのだ。
 一人というのも、なかなか快適だ。好きな場所で、好きなだけ体を揺らし、好きなだけ歌えるから。
 実際のところ、結構一人で聴きにきている人は多い。たまたま隣になった同じく一人の人と、好きなミュージシャンの話をすることだってある。想像していたような、一人でいることの気まずさは感じない。
 何よりも、体の隅々までいきわたる音の振動がもたらす快楽が、心を癒してくれる。
  
 つい先日、鹿児島のライブハウスで、あるイベントがあった。
 その名も「魂の叫び01」。鹿児島の音楽番組の中で、地元のバンドを紹介する「魂の叫び」というコーナーがあるという。今回、この“魂の叫び”をキーワードに、鹿児島で活動する4バンドと、ゲストとして全国で活動する2バンドが集まり、ライブを行った。

自分の好みの音楽は、一度聴いてみれば分かる。そう思っている私はこの日、ゲストできていたバンド「ART-SCHOOL」の音楽にものの数秒でつかまった。 
 今日初めて聴いたのに、演奏されたすべての曲が、激しく心を揺さぶった。掻き鳴らされる印象的なギターの音に混ざる、少年のようなあどけなさを残した歌声。完全にノックアウトされてしまった。

終演後、興奮が冷めきれずにいた私は、一枚のチケットを購入。それは、10月にあるART-SCHOOLの鹿児島ライブのチケットだ。
 また、聴ける。そう思うと、気持ちが昂ぶる。あと3カ月、本当に楽しみでしかたがない。

こんなふうにライブを見ることで、私は毎回ちょっとしたパワーを手に入れる。それはきっと、毎日の仕事の糧になっている。
 これからも、新しい音楽に出会う機会を大切にしていきたい。
                                      (坂)

2005年7月10日
キャパルボホール、
「魂の叫び01」チケット。
UP SET HIGH、夕暮レヤングビーズ、
THE色荒(ザシキアラシ)、FAT PROP、
ゲストに椿屋四重奏、ART-SCHOOL。
 



  2005.07.20

 怒涛の6月、私の黄金の日々、ハード月間!?

6月4日 博多座で「源氏物語」を観る。海老蔵は色男をさらりとやってのけ、「助六」とはまた違った魅力。雅楽の青海波が優雅。染五郎の頭中将でぜひ連舞を観たい。このあとジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』。かみ合わない乾いた会話をつなぐコーヒーとタバコ。人と人との化学反応。時々クスリ(笑)、彼らしい白黒映画。続いてテオ・アンゲロプロスの『エレニの旅』。観終えて涙が止まらない。20世紀を生きる女性の悲しみを凝縮したよう。川に浮かぶ筏の葬列。哀しく美しい。観に来てよかった。

6月14日 熊川哲也の「白鳥の湖」は、巻き上げのカーテン(たぶん持ち込み)から大感激。まず舞台にあるのはアート。美術も衣装も今まで観た「白鳥」の中でいちばん。演出もよく、階段から王子様登場で思わず拍手。ヨーロッパ並みの舞台を鹿児島に持ってきてくれてありがとう!! カーテンコールはなんと7回。この前のマラーホフより2回多く、最多記録か。舞台アーティストとしての熊川を知る。最高の夜。次回が楽しみ。

6月15日 京劇「水滸伝」観賞。独特の鉦の音に、歌、踊り、武術が相まって伝統芸の強さを知る。

6月16日 いざ沖縄へ。万座毛までは普通だったけど、水族館に向かう途中からものすごい豪雨。第一陣は根性で水族館を見学。

6月17日 今日もすごい降り。一行は辺野古経由で屋慶名、勝連城跡へ。さすが世界遺産、美しい場所。石積みが見事。午後は池宮さんのご案内で南部へ。ひめゆりの塔で手を合わす。夜は歓迎会。パワーに圧倒される。盛りだくさんの一日。

6月18日 改めて地域出版に関わる人間が一堂に会していることに驚く。歴史的日。出版よどこへ行く。案外地域のほうが残るのか。自分も生き方を考えなきゃ。新しい出会いと旧知との再会、会えてよかった。カラータイマー点滅、2次会は自粛、宿に戻る。

6月19日 この間の雨が113年ぶりの歴史的大雨と知る。なんというタイミング。帰る前に首里城へ。大好きな龍にあえてよかった。

6月25日 『スターウォーズ エピソードV』の先々行の日。この日をどんなに待っていたことか。シネトークのメンバーと劇場へ。善と悪の物語、伝説よ、永遠なれ。    
                                   (Kuro)
                                                       
                                                    
  2005.07.07

 ◎雨の沖縄 Part1

3年ぶりの社員旅行である。前回は奄美・加計呂麻島。『川の生きもの図鑑』を仕上げたばかりで体力を消耗していたせいか、社長が釣ったエラブチ(あの田中一村の絵にある派手な魚、ブダイ?)の毒にあたり七転八倒。サンゴ礁の海を堪能するどころか、徳州会病院で点滴を打つ羽目に。離島医療の大切さをしみじみ味わったのでした…。

今度こそと勇んで行った沖縄。一応、ボーダーインクの15周年記念シンポジウム&パーティに参加するという「研修旅行」ではあったが、気分はしっかりリゾート。恩納村のかりゆしビーチホテルにオーシャンビューの部屋を取って、美ら海で泳いで…と計画したにもかかわらず、雨! しかも台風のような豪雨! 113年振り?

 勘弁してよ。こんなに毎日真面目に働いてるのに。でも、ほんとに大変だったのはレンタカーを運転していた二人(黒岩さん・末吉さん)だったかも。怖かったね〜〜。側溝から噴水みたいに噴き出していたものねえ。

……と、この後の顛末は次の人に譲るとして、さて、肝心の研修の方ですが、こちらはとっても実り多かったですよ。

ボーダーインクは、沖縄を代表するパワーのある出版社。社長の宮城さんは懐が深いし、新城さんは文章もうまいし、池宮さんは地に足のついた仕事をするし、キナさんは元気ハツラツぅだし。そうそう、クミさんは多芸だし、金城さんは美人だし、なんと言っても芳子さんが大好きです! そんなボーダーの皆さんが一声掛ければ、北は北海道から南は鹿児島まで、出版社(秋田の無明舎・岡山の吉備人出版など)や編集者、地方小出版流通センターの川上社長まで飛んで行きました。とくにウエルカムパーティでの安倍さん(無明舎代表)のホンネの話はおもしろかった。シンポジウムにも予想以上にたくさんの若者が集まるし、やっぱり沖縄は違う。なんでも「自分のこと」として受け止めてるって感じ。体温高いかな、私らより。

ちょっとため息をつきながら、でも無理しても仕方ないので、いつもどおりの自分でいようと思……ったつもりだったが、後日、吉備人のまりさんから送られてきた写真を見てびっくり。だれ?これ。クールな私はどこへ行ったの。やっぱり沖縄に行ったら踊らなきゃウソだぜ!!

             (編集者Tでした)                           

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