
2008.4.25 父島人肉食事件 小社は鹿児島にあるのだが、小笠原本も、これまで4冊出している。そのお陰で、3年前には小笠原まで実際に行くことが出来た。 東京の竹芝桟橋から船で30時間、飛行機は通っていない。一週間に一便だから、向こうで5日間は滞在しなければならない。本の営業に行ったのだが、狭い島のこと、ものの半日もぶらつけば仕事は終わってしまう。後は青い空、青い海、色とりどりの魚……。極楽生活である。 鹿児島に暮らす人で、小笠原まで行った人はほとんどいないだろう。10人くらいか。羨ましがる人はあまりいないが、何となく鼻が高い。 戦後、米軍政下に置かれた小笠原諸島も、今年、日本復帰50周年を迎える。このタイミングに合わせようと、戦中戦後史の原稿が、また新たに舞い込んできた。 著者は米国人の研究者エルドリッヂ。阪大の助教授だが、米軍の太平洋軍司令官の政策顧問もやっていたからちょっと怪しい。小社内でのニックネームはCIA。でも、原稿はとても面白い。 タイトルは『硫黄島と小笠原をめぐる日米関係』。米公開公文書を駆使して、アメリカの軍事戦略を明らかにする。現在の基地問題の背景を知るために不可欠の書となろう。 1000枚を超える原稿を読むのはたいそう骨が折れるが、アメリカ側の資料はなかなか興味深い。 凄まじい硫黄島戦。栗林中将は、米軍が期待したおろかなバンザイ攻撃をとらなかった。そのせいで、アメリカ側の死傷者が日本を上回ったのだ。 原稿を繰っていてあっけにとられたのは、父島人肉食事件である。 撃墜して捕虜にした米軍のパイロットを処刑し、軍医に解体させた肝臓や太ももの肉を、立花芳夫少将らが、宴会ですき焼きにして食べていたのである。 これまで断片的には知られていたのだが、今回米側の資料、特に日本で初めてグアム戦犯裁判の記録を用いることで、全容が明らかになった。目的は戦意高揚。吐き気をもよおした部下にも無理やり食べさせたという。 食べられたのは一人ではなかった。ホール少尉他、少なくとも4人の名が確認されている。 ブッシュの親父(元大統領)も、父島沖で撃墜された。米潜水艦に救助されたが、一歩間違えば食べられていたのである。 日本軍の狂気を細部まで明らかにした本は、なかなかお目にかかれない。米国人ならではの視点か。しかし、この人肉食事件には本当にたまげた。 本書は6月刊行予定。予約可。 |
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