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| ● 日本経済新聞96・2・26一面コラム「春秋」 昨年、新聞記者をやめて沖縄へ移住した友人から、久しぶりに便りが届いた。地元の人たちの力添えで特産品専門の店を開いたとある。沖縄ならではの品を本土向けに宅配し、店を情報発信と交流の基地にしたいと張り切っている。 大都会に住む人々のかなりの部分が心のどこかに「卒業願望」を秘めている。ことに昨今は企業のリストラもあって、脱サラ・農村移住がちょっとしたブーム。農業後継者の不足に悩む農水省もこれに目をつけ、三大都市周辺にサラリーマンを対象とする「在職者就農準備校」を開くことになった。 九州に、移住希望者を支援する民間グループ「田舎暮らしネットワーク」(事務局・福岡県筑紫野市)がある。このグループが編集した移住情報誌「田舎暮らし大募集」を見ると、夢を現実にするための道はけっこう開けていることが分かる。こんなネットワークが全国に広がったら、官製の予備校よりずっと効果がありそうな気がする。 ● 西日本新聞96・2・26「社説」 土のにおいが体を包む。畑仕事に精を出す。快い汗が流れる。そんな空想をしながら「ああ、田舎で人間らしい生活をしてみたいなあ」と思う人は少なくないだろう。 94年に発足した「田舎暮らしネットワーク」(事務局・福岡県筑紫野市)は、フォーラムを開いたり、情報誌『田舎暮らし大募集』を発行して、都会に見切りをつけようとしている人に情報を送っている。 『田舎暮らし大募集』には、田舎に移り住んだ人たちの生き生きとした体験談が載っていて、その熱い息づかいが伝わってくる。 日本人には昔から「都を離れて山里へ」というパターンの夢がある。「憂き世」を捨てて人里離れた庵(いおり)に住む隠とん生活である。 ところが、最近の田舎暮らしへの欲求は、そうした世捨て人感覚とはかなり異なるようだ。 もちろん、都会の雑踏への嫌悪感や、管理社会への反発などもあるだろう。だが、それよりも自分の理想を追求しようとする情熱の方をひしひしと感じる。 「都会から脱出、ないしは逃亡して田舎に住むのが田舎暮らしなのではなく、都会では実現できない志を田舎に求めようという潮流だ」 大阪から87年に長崎県・五島列島に移住した「ネットワーク」世話人の歌野敬さんの信念である。 |
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