琉球・奄美史研究の第一級根本史料
江戸期、奄美の島々では何が起きていたのか。歴史に埋もれた過去がいま生き生きと甦る。刊行以来三十七年を経た幻の書『道之島代官記集成』が、貴重な史料「南嶋雑集」「道之嶋船賦」とともに待望の翻刻。
◎刊行に寄せて
奄美・琉球史の根本史料
弓削政己(奄美郷土研究会)
本史料集成は奄美の喜界島から与論島までを視野に入れた根本史料集である。本書の中に収録されている「喜界嶋代官初并大嶋郷士格人躰且諸横目より重役現夫居住者等之一冊」については、作成の背景が長く不明であったが、幕末嘉永年間に、琉球へ諸外国の開国への圧力が高まった折、鹿児島藩が代官に奄美の地図作成や財政強化を命じた中から生まれたものであることが分かった。このように新しい事実が明らかにされている。このことも含め、奄美・琉球史の根本史料としての価値は不変である。
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奄美を読み、描く楽しさを
高橋一郎(奄美民俗研究家)
現在学としての民俗学の側から、奄美の歴史をひもとこうとする時、まず手にする一冊が『道之島代官記集成』(1969年、福岡大学刊)だろう。支配の側の記録だからこそ、その記述の背後に人びとの暮らしを読み解くことが試される。その困難が奄美を学ぶことの醍醐味を教えてくれる。すでに高価な稀覯本になってしまった同書が、新たな史料をとともに翻刻される。今度はより多くの人が、歴史を読み取り、描き出す楽しさを味わえることになる。刊行が今から待ち遠しい。 |
■内容(目次より)
一、道之島代官記集成
・大島代官記
・喜界島代官記
・徳之嶋面繩院家蔵前録帳
・沖永良部島代官系圖
・連官史
・大島與人役順續記
・喜界嶋代官初并大嶋郷士格人躰且諸横目より重役現夫居住者等之一冊
(仮題)
・與論在鹿児島役人公文綴
一、南嶋雑集
一、道之嶋船賦
2006年8月刊行、500部限定
■著者紹介
松下志朗(まつした しろう)
1933年鹿児島県生まれ。1967年九州大学大学院文学研究科中退。1986年九州大学経済学部教授、1996年福岡大学商学部教授、2003年退職。
主な著書に『近世奄美の支配と社会』(第一書房)『幕藩制社会と石高制』(塙書房)『石高制と九州の藩財政』(九州大学出版会)『近世九州の差別と周縁民衆』(海鳥社)他。
共編に『宮崎県史』(史料編 近世1〜6、宮崎県刊)『宮崎県史』(通史編 近世上・下、宮崎県刊)『都城市史』(史料編 近世1〜5、都城市刊)他。
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