戦後の混乱期から日本復帰までの8年あまり、奄美民衆はアメリカ軍政下におかれ、孤立した状況を余儀なくされてきた。それでも軍政府の監視をくぐり、人々は波濤を越えて日本本土を目指した。命を賭して彼らが求めたものは何か。
【復帰50周年特別企画】
◆初めて分離期奄美の密航・密貿易をまとめた本◆
元ちとせが生まれ育った島・奄美は、戦後1946年2月2日GHQによって沖縄とともに日本本土から行政分離され、1953年12月25日の日本復帰までの8年間余り、奄美民衆はアメリカの軍政下に置かれました。
北緯30度線を境に親兄弟が離ればなれになったり、復員軍人や軍属、満州開拓団の引き揚げ者などが、故郷に帰れないという事態が生まれました。
故郷に帰るため、あるいは本土在住の奄美出身者と連携して復帰運動を繰り広げるため、また不足しがちな生活物資を調達するため、閉ざされた30度線を越え、人々は密航・密貿易という手段を余儀なくされたのです。
当時の状況を知る資料は乏しく、時間とともに人々の記憶からも消えつつありました。2003年復帰50周年を迎えるにあたり、奄美の戦後史に焦点を当て地道に取材を重ねてきた佐竹京子氏の成果を、この度刊行することといたしました。本書に登場する、合計77人の証言によって、当時の情景が鮮やかに甦っていきます。
特に第1章の「密航船『宝栄丸』中之島沿岸遭難事件」は、当時の南日本新聞大島版で13人死亡と小さく報道されただけで、真相はほとんど知られていませんでした。著者の丹念な取材によって宝栄丸の航路や、乗客の実態、救助活動のほか、死者50人以上という事件の全貌が今回描き出されています。
また、奄美の教師が子供たちのために教科書を密航して調達した事実、「日本復帰」密航陳情団の情況、密貿易が奄美経済に果たした役割など、興味深い内容も盛り込まれています。
奄美に限らず、日本の戦後史を記録した貴重な資料となる一冊です。
構成●
第1章 密航船「宝栄丸」中之島沿岸遭難事件
第2章 金十丸と教科書密航事件
第3章 「日本復帰」密航陳情団
第4章 密航体験記、波濤を越えて
第5章 密貿易時代
座談会「密貿易は奄美経済の担い手だった」
第6章 密貿易体験記、十二人の証言
資 料 年表でみる米軍政下時代の占領政策 |

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