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| 柴さんの「日記」に編集部が出会ったのは、1997年5月。彼女が亡くなってそろそろ一年がたとうかというころでした。その「日記」は、とても素直なことばで綴られていて、まるで、いまそこにいて彼女自身が話しているかのように、真っ直ぐに心に響いてきました。 「ひとの痛みの分かる人間になれ」とは、親にも言われ、子にも教えたいと思うことではありますが、いざ、自分自身を振り返ってみると、なかなかできることではないということに気付きます。テレビやゲームなど、あふれる虚のなかで暮らしている私たちには、むしろひとの痛みほど遠いものはないとさえ思われます。 柴さんの日記は、そんな私たちの胸に投げ込まれた小石のようなものでした。 病気への不安、死の恐怖、感謝の心、猜疑心、そして切ないまでの家族への愛情……。彼女の心に生まれるさまざまな思いは、読む者の心を捉えて離しません。死を身近に感じた人間が、何を考え、どんなふうに生きようとしたか。体験しなければ分からないであろう苦痛や感情が、胸に迫ってきます。ひとの痛みを分かることは難しいけれど、真実のことばはそれを可能にしてくれます。自分自身の痛みとして感じさせてくれるのです。 人と人とのつながりはおろか、家族の絆さえ危うい昨今ですが、彼女の日記を読むことで、いま生きている私たちが何を大切にし、何を求めて生きればいいのか、考えるきっかけになるかも知れません。 柴さんを知る方たちだけでなく、少しでも多くの人に読んでほしいと思います。 ● 著者プロフィール 柴 芳子(しば よしこ) 1956年、鹿児島県日置郡金峰町にて生まれる。1975年福岡大学付属看護学校を中退後、家業を手伝う。1978年屋久島で結婚して一男三女の母となる。1996年6月11日、自宅にて永眠。 |
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