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| ● 日本経済新聞97・7・3「この一冊」 新聞社の名瀬通信局長として奄美大島に勤務した著者が、「奄美のいま」を鮮やかに描き出した。 「二項の対立、矛盾、調和から奄美を見た」と語る著者が、本書で取り上げたテーマは「薩摩と琉球」「自然と開発」「ヤス(保岡興冶衆院議員)とトク(徳田虎雄前衆院議員)」など。 「島唄(うた)と新民謡」の章では、独特の裏声を使いシマクチ(奄美方言)で歌われる伝統的な島唄と、戦後に花開いたヤマトグチ(共通語)主体の新民謡を並べて描き、方言撲滅運動にさらされた同島の歴史を浮かび上がらせる。 「ヤマトンチュ(本土の人間)が見た奄美のガイド、入門書」(著者)としてだけでなく、筋金入りの奄美ファンにも楽しめる一冊だ。 ● 南日本新聞97・7・6書評 沖縄のさまざまな魅力にひかれ、ときに抜き差しならない関係になるヤマトンチュ(本土の人)のことを「沖縄病」という。奄美のことで似た状態は「島酔い」と表現される。 1994年4月から97年5月までの三年余、全国紙の記者として自ら手を挙げ赴任した著者が、「島酔い」にならないはずがない。本書は、そんな島酔い記者の目に映った“現代版奄美風土記”である。 ● 南海日日新聞97・6・26書評 三年間の現地取材が元ネタだから当然ブイン(新鮮)そのもの、切り口も本音でズバリ鮮やかだ。そのうえ読みやすい。たとえば、「奄美以上の離島苦にさらされたのがトカラ列島だ」「奄美の人たちには、沖縄に対する二律背反的なものを感じる」「優しさとはうらはらの過酷さ、内に閉じた集落の排他性」「政争の激しさも奄美の文化の一つ」「大島紬はなぜか悲しい」「焼酎で乾杯を!」「味はやや落ちる魚が多かった」「『優しさ』こそが奄美の最大の魅力」等等、シマの地鳥とは異質の、旅鳥固有の視線や表現に出くわすごとに、彼がシマの留鳥と組まずに一人で自由に飛んだのはほんとに良かったと思うのだ。 本書巻末の約100冊の参考文献と、251人の人名索引は、神谷さんの奄美での自画像を映し出すものだ。(森本眞一郎) |
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