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| ● 日本経済新聞96・9・19「この一冊」 名水の産地として知られる鹿児島の湧(ゆう)水地35カ所を、詳しく紹介した。薩摩半島から大隅半島、屋久島まで、「自分だけのおいしい水」を求めて駆け回った著者の熱意が、文章から伝わってくる。 「おしとやか」「まろやかで甘い」「3000年前の昆布の味」――。昔から住民に親しまれてきた天然水は、個性たっぷり。著者はその一つ一つに愛情を注ぎ、大地の恵みに感謝する。 二年前に移住してきた著者にとって、鹿児島の水、自然との出合いは新鮮な驚き。水場の情景や地域の住民との交流のエピソードも生き生きと表現した同著は、読者を鹿児島の旅へと誘う魅力にあふれている。 ● 南日本新聞96・8・18書評 おいしい水ブームである。以前ならわざわざ買ってまで飲むことはなかった日本人の間にも、今はボトル入りのミネラルウォーターが浸透してきた。名水百選など、全国各地の水が注目を集めている。 本書は鹿児島県内の35カ所の湧(わ)き水を訪ね、その人気の秘密を探る。湧き水そのものの紹介というより、それぞれの地元の人々との交流録も楽しい。水汲(く)みという一つの行為を通して、自然を満喫できるレジャー気分を味わうのもいい。 水神様をまつる水場は、地区民の社交の場でもある。よそから来た人を温かく迎え入れ、あいさつを交わし、しばし水談議に花が咲く。その土地に昔から受け継がれてきた水の恩恵は、有形無形の財産でもある。 大隅、霧島、南薩摩、川内・北薩、鹿児島市近郊、そして屋久島エリア。こんこんと湧き出る水の音が聞こえてきそうな、さわやかな現地ルポは、自然の大切さやそれを守る難しさなどを考えさせる。 ● 読売新聞96・10・2「人はなし」 取材は昨年10月にスタートし、今年4月まで、全県の約50か所に及んだ。 本には、うち35か所を収録。山の「お乳みたい」に洞くつの壁を伝ってにじみ出る水、「こっちのみーずはあーまいぞ」と言いたくなるような水、大木の根元にわく「神様の水」、個人宅の湧き水もあった。 本名は城宣恵(たちのぶえ)。友人のピアニストとデュエットを組み、クラシックやジャズを歌うライブコンサートを二か月に一回開く。水の表現にもそうした音楽的リズムがのぞいている。 |
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